つづき

 夢中になった時間がどれだけ過ぎたか分からない頃、St.Jamesのオーナーピアニストであった故 田中武久さんに出会いました。田中さんが亡くなられる2.3年ほど前です。そこは、元々縁のあったベースの石田裕久さんの長年の修行の場所でもあったけれども、、私を紹介したりお店に招いたりなど一切されなかったです。それが全く関係のない方からのご連絡をきっかけに、私は St.Jamesとの縁を頂くこととなりました。緊張してお店に入ったのを覚えています。しかし音楽が始まると信じられないくらい温かい空間となり、ビートが音がうねるように心に響いたことを今でも思い出しては涙がでるほど胸が熱くなります。音楽で感動する。これまで何度も体験したはずなのに、今までの何とも違っていました。一体ここまで心を鷲掴みにするものとは何なんだ！！！そう…今思えばそれが魂そのものでした。

 前述したようにベースの石田さんは私を紹介しなかった、これには理由があります。目には見えないがそれはそれは厳しい世界だからです。簡単な気持ちでここに来たら吹き飛ばされる。そう…吹き飛ばされないよう堪え、さらにそこから表現するところまでいかねば存在している意味がないからです。そのころの私には到底出来うることではありませんでした。今あるか…と言われても堪えることなら…くらいですが笑。数える程ですが田中さんと演奏させてもらえた事がありました。どれもこれも玉砕でした。正直苦い思い出しかありません(汗)しかしたった１つだけ…エンディングのスキャットを、田中さんが私から奪いさって歌い始めたことがあったんです♬それだけは私の記憶の中の宝物です。

つづく